日刊木材新聞 2014年8月6日(水)付
中大規模木造プレカット技術協会設立
住宅用プレカットのインフラ生かす
中・大規模木造建築物の普及のために、既存の木造住宅用のプレカットの仕組みを使いS造やRC造に対してコスト競争力のある木造建築物を普及していこうと、稲山正弘東京大学大学院教授と大手プレカット工場が集まり中大規模木造プレカット技術協会(稲山正弘代表幹事)を設立した。現状は任意団体だが来期には社団法人化を目指していく。
価格競争力ある木造建築へ
同協会では、木造校舎のJISA3301の改訂案のなかに織り込まれた、中断面構造用集成材や製材を用いたトラス工法の標準的な収まりなどを基に、これまで特注による大断面構造用集成材を使用することでコスト高になっていた中・大規模木造建築物のコスト競争力を高めていくための検討を行う。
具体的には量産化され価格競争力の高い中断面構造用集成材を利用するほか、住宅用の機械プレカットの供給の仕組みを活用する。また、接合部などの標準図集の整備や、木造3階建て住宅に対応できる構造ソフトとそれを活用して許容応力度計算を実施できる構造計算の体制づくりなどを進める。さらに、これらの成果を講習会の開催などを通じて全国に普及していくことを目的にしている。
実際には一般で流通している中断面構造用集成材は120×450mm×6mくらいまでだが、150×600mm、長さ8、9mくらいまでのものを使う。プレカット工場でも幅600mmくらいまでの材寸に対応できる加工機の導入が進んでおり、これらの工場のリスト化なども図る。
木造校舎のJISA3301案では、中断面構造用集成材や製材を使ったトラスや高倍率耐力壁の仕様なども盛り込んでおり、これらの仕様を構造ソフトに盛り込んで対応できるようにしていく。
稲山代表幹事は「S造では、H鋼や角型鋼管など柱、梁の断面が決まれば、接合部は標準化されており、設計図書の冒頭に標準図を掲載しておけば特記部分以外は特別な指示がなくても設計、加工、施工できる。木造住宅もこうした暗黙のルールがあるが、中・大規模木造でも標準図を作成することで合理化につながるはず」と語る。
会員は1種がプレカット加工会社、ソフト会社、機械メーカーなど。2種会員A種は設計、施工で資本金5000万円以上、B種は同5000万円以下。会計幹事が中国木材、事務局幹事がマルダイ、幹事がシー・エス・ランバー、篠原商店、ポラテック。事務局はマルダイ内に置く。