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ハウジング・トリビューンに取材協力した記事が掲載されました

2015年4月3日

ハウジング・トリビューン【ウィークリー】 2015年4月3日号

名称未設定-2木造校舎のJISが改正、軸組工法での建築がより簡単に

 文部科学省は、木造校舎の標準的な構造モデルを定めた「木造校舎の構造設計標準」(JIS A 3301)を改正した。これを用いることで設計、施工の簡略化を図りながら、木造校舎を建築できるようになる。
 建築基準法では、木造校舎の安全性を確保するために、高いレベルで構造強度を確保することを求めている。木造建築のノウハウを有する建築技術者であれば対応できるが、木造建築の建築技術者は、圧倒的に不足しているというのが実情だ。木造建築の設計経験がない設計者などが、木造校舎に取り組もうとすると、複雑な構造計算などを要求されるため、ハードルが高いという課題があった。
 一方で、建築基準法では、JIS A 3301に適合することで、木造校舎の建築を許可するという規定も設けている。このJISで規定された通りに建築することで、経験の少ない建築技術者も容易に木造校舎の設計や施工に取り組めようになる。
 ただし、JIS A 3301は、もともと昭和30年代に木造校舎を全国に普及させるために、制定されたものであり、その後、長く使用されず形骸化していた。
 そこで今回、現在の建築技術や材料などを考慮した内容に改正。31年ぶりの抜本的な改正となった。
 例えば、改正前のJIS A 3301では、構造部材として製材しか選択肢がなかったが、改正後には、集成材や構造用合板などを追加。さらに、今回、改正されたJISでは、在来軸組住宅用の流通材やプレカット技術を多用して製造できる高耐力壁や、これに対応した補強金物、12mのスパンを飛ばせる屋根トラスなどを利用できるようにした。
 つまり今回、改正されたJISを用いることで、軸組工法の住宅建築に関するノウハウや技術を有していれば、比較的容易に木造校舎を設計、施工できるというわけだ。
 なお、JIS A 3301の適用範囲は、平屋建ておよび2階建て、軒高さ9m以下、最高高さ13m以下で、延床面積が2000m2以下の木造校舎に限られる。

技術資料も策定
建築確認申請作業の簡略化に寄与

 また、今回のJIS A 3301の改正に伴い、技術資料も策定した。これはJIS A 3301をより使いやすくする留意事項などをまとめたもの。木造校舎に求められる防火性能や耐久性、遮音性、断熱性能などの基本情報を示したほか、耐力壁や接合部などの強度性能を証明した実験データや、構造計算例などを明示した。
 今回、JISの改正作業に携わった東京大学大学院農学生命科学研究科の稲山正弘教授は「構造根拠となる実験データが示された技術資料を活用することで、確認申請手続きの簡略化に寄与する」としている。
 さらに、今回改正されたJISは、学校建築だけでなく、中大規模木造全般に応用できるものとして注目を集めている。稲山氏は「ノウハウがない設計者などが木造建築に取り組もうとすると、接合部のディテールなどから設計しなければならないといった課題があった。対して、今回、JISの改正に伴い策定した技術資料には、接合部などの接合強度を証明した実験データなどを明示している。これらのデータを引用することで、従来のように、個別に接合部のディテールを計算するといった手間を省ける」と話す。

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